プリズンドックプロジェクト

そんな犬たちの檻の前に達也が行くと、しっぽを振ってよってくる犬たち。
達也「人なつっこい」
シシリーさん「ここでは保護した犬に新しい家がみつかり幸せになるように努力しています」

その言葉に、達也は真剣な顔でうなづく。
このセンターでは昨年、殺処分された犬は一頭もいなかったという。

さらにセンターの中を見て回る、達也は、ある部屋の中に入っていく。達也が入った部屋には、一台のカメラ。
そのカメラの前には一頭の犬と、その犬を紹介している動物保護センターの職員。
それは、この地域で放送されているケーブルテレビの人気プログラムで犬たちを紹介し、里親を探すという番組の撮影だった。この番組の効果もあって、昨年は実に3195頭の新しい里親が見つかったという。
その撮影の様子を、感心した表情で見つめる達也。
達也「これは日本でもやるべき」

撮影の見学を終えた達也は、再び、シシリーさんに話を聞く。
シシリー「介助犬になれそうな素質のある犬は協力体制にある刑務所に連れて行きます」
介助犬を育成するには、費用もさることながら、たくさんの人の労力、努力を必要とする。
しかし、刑務所で服役している受刑者には時間がたくさんある。
虐待や災害、家庭の事情など、様々な理由から居場所を失って、保護センターに収容され、もし新しい飼い主が見つからなければ殺処分されてしまう犬たちのためにおこなれている『プリズンドッグプロジェクト』。
行き場を失ってしまった犬を刑務所で服役中の受刑者が一定期間預かり、社会に順応できるようにトレーニングするという、受刑者の更生プログラムの一つである。

そんな彼らにとっても、犬を育てる事は自信へとつながる。
犬と受刑者、お互いが再びやり直すチャンスを与えられるこのプロジェクトは、現在、アメリカ合衆国の150以上もの刑務所で実行されていて、大きな成果をあげている。

アメリカ合衆国、ワシントン州シアトルにやってきたのは、達也。
最初に訪ねたのは、刑務所とパートナーシップ関係にある、タコマピアス動物保護センター。
センター主任のシシリーさんに、センター内を案内してもらう。
達也が中に入ると、そこには、この地域から保護されたという犬たちの姿があった。
達也「このプログラムの一番良いところはどこですか?」
達也の質問にテレサ受刑者は、こう答えた。
以前は自分の殻に閉じこもり時が過ぎるのを待つのみだったテレサ受刑者。しかし、このプログラムのおかげで目標ができた。自分たちが育てた犬が人々の役に立つ。刑務所にいながら誰かの人生に犬を通じて必要とされていることが嬉しい。
テレサ受刑者「本当に感謝しています」
そう言ってテレサ受刑者は、タイをやさしくなでた。
タイが立派な介助犬として世に出るその日もそう遠くはない。

そんな彼女たちの育てた犬たちは、刑務所でのトレーニングを終えて出た後、どのように活躍しているか?
達也は一軒のあるお宅にお邪魔した。
達也を暖かく迎えてくれたのは、ケリーさんとその介助犬カルマー。
カルマーがこの家にきたのはおよそ1年前。脳性マヒを患っているケリーさんの介助犬として手足の役割を担っている。外に出る時もカルマーと一緒。図書館やスーパー、動物園なども行動を共にしている。

カルマーの様子を見た、達也はただ一言。
達也「すごい」
そんなカルマーのことを、ケリーさんはこう語る。
ケリーさん「私の生活を明るくしてくれる。笑わせてくれるし、本当に助けてくれる」

受刑者にとっても、人に捨てられた犬にとっても、やり直しのチャンスを与える『プリズンドッグプロジェクト』。
犯した罪や過ちなど過去は消す事は出来ない。
しかし、そこにひとすじの光が差し込み周りを照らし始めた今、人々のチャレンジはつづく。


お互いが常に一緒にいること、それが大切な要素。
強盗や詐欺の罪で服役中の受刑者のドニカ受刑者は、犬と接することで、今までの自分のを見つめなおすことができたという。
ドニカ受刑者「私の人生の前半は世の中から奪うだけだったけど、残りの半生は世の中に貢献できればいいなと思っています」
ドニカ受刑者とトリクシーの介助犬への道のりは、まだスタートしたばかり。

続いて、シシリーさんに紹介されたのは、介助犬の最終段階のトレーニングを行っているテレサ受刑者。すでに10頭以上の犬を育てているという。
彼女が現在トレーニングしているレトリバーのタイも、介助犬訓練の最終段階に来ているという。
テレサ受刑者は穏やかな雰囲気を持つがこの刑務所に長く服役している。

彼女がタイと生活している部屋に案内された達也。
そこで見たのは、意外にも…
達也「猫がいるんですね」
猫がいる理由は犬の適正を見る為。特に介助犬になる犬はネコや鳥などの小動物等に気をとられてはいけないのだという。
達也「びっくりしないようにだ」
一般にはトレーニングした中の2割程度しかなれないといわれる介助犬。
しかし、ここでは彼女たちが24時間体勢で愛情を注ぎ、寝食を共にする事で、驚く程、成功率が高いという。

次に達也が訪れたのは、ワシントン州シアトルにあるワシントン州女性刑務所。有刺鉄線や監視カメラが至るところに設置されていた。
達也「すごい厳重」
それもそのはず、この刑務所は州内で最も厳重に警備されている施設の一つで、重大な犯罪を犯したおよそ700名の女性受刑者が収監されている。

「プリズンドッグプロジェクト」は1982年にアメリカ国内で、この刑務所が初めて導入したもの。
そんな刑務所内を、プログラムの責任者グレースさんに、案内してもらい、やってきたのは、屋外のトレーニング場。
達也「やってますねぇ」
達也の視線の先には、トレーニングをしている犬と、受刑者の姿。
介助犬にするためのトレーニングを行っているという。

達也が紹介されたのは、ドニカ受刑者とトレーニング中のゴールデン・レトリバーのトリクシー。
6ヶ月のトリクシーは、野犬の群れの中にいたのを保護され、この刑務所に連れてこられた。最初は、人間と接したことがなく、すごい恐がりだったが、今では人にも馴れ、まだ初歩段階だが介助犬になれるように一生懸命に努力しているという。
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